「ドローンを使った仕事に興味があるけど、具体的にどんな種類があるんだろう?」「特別な経験がなくても挑戦できるのかな?」「必要な資格とか、難しいスキルがいるの?」―― そんな疑問から、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
近年、ドローンは空からの映像撮影だけでなく、測量、点検、農業、物流といった幅広い分野でその可能性を広げ、私たちの社会に欠かせないツールとなりつつあります。それに伴い、ドローンを操縦するパイロットはもちろん、関連する様々な仕事の需要が急速に高まっています。
この記事では、「ドローンを使った仕事」について、具体的な職種の内容から、求められるスキルや必要な資格、そして気になる収入や将来性、未経験からこの分野で活躍するための方法まで、分かりやすく解説していきます。
ドローンが活躍するフィールドは驚くほど多岐にわたります。「ドローン=空撮」だけではない、多様な仕事の世界を覗いてみましょう。きっとあなたの興味関心や、これまでの経験を活かせる分野が見つかるはずです。
ドローンの仕事として最もイメージしやすいのが空撮分野でしょう。テレビ番組、CM、映画、プロモーションビデオ、観光PR、結婚式やイベントの記録映像、不動産物件の紹介動画など、その活用範囲は広がる一方です。
単にドローンを飛ばすだけでなく、クライアントの意図を汲み取った映像を撮影するためのカメラ知識や映像センス、編集スキルも重要になります。フリーランスとして活躍する人も多い分野です。
建設現場の進捗管理、工事に必要な地形データの取得(3次元測量)、土砂量の計算、災害状況の把握などにドローンは不可欠なツールとなっています。
レーザー測量機器(LiDAR)や特殊なカメラを搭載したドローンを運用し、取得した膨大なデータを専用ソフトで解析・加工するスキルが求められます。測量に関する知識やCADソフトの操作スキルがあると有利です。
高所や危険な場所にある橋、トンネル、ダム、送電線、鉄塔、プラント設備、ソーラーパネル、風力発電のブレードなどを、ドローンを使って安全かつ効率的に点検します。
赤外線カメラや超音波センサーなどを活用し、目視では発見しにくい異常箇所を見つけ出すことも可能です。点検対象に関する専門知識や、報告書作成能力も重要になります。
広大な農地への農薬や肥料の自動散布は、ドローン活用が進んでいる代表例です。高齢化や人手不足に悩む農業現場の省力化に大きく貢献しています。大型の農薬散布ドローンの操作には専門の資格や知識が必要です。
また、ドローンで撮影したデータ(作物の色や生育状況など)を分析し、最適な栽培管理を提案する「精密農業」の分野も注目されています。農業に関する知識やデータ分析スキルが活かせます。
山間部や離島への医薬品・食料品の配送、建設現場への資材運搬、災害時の緊急物資輸送など、物流分野でのドローン活用が本格化しつつあります。
決められたルートを安全に自動航行させるためのプログラミングや運行管理の知識、トラブル発生時の対応能力などが求められます。将来的には都市部での配送も期待されています。
工場や倉庫などの広大な施設の巡回警備、イベント会場での不審者監視、災害発生時の被災状況のリアルタイム把握、野生動物の監視などにドローンが活用されています。
赤外線カメラによる夜間監視や、AIによる異常検知システムとの連携も進んでいます。状況判断能力や、関連法規の知識が必要となる場合があります。
ドローンの普及に伴い、操縦技術や関連法規を教えるドローンスクールの需要が高まっています。認定されたスクールで、初心者からプロを目指す人まで、様々なレベルの受講生に対して指導を行います。
高い操縦技術はもちろん、分かりやすく教える指導力、コミュニケーション能力が不可欠です。
数百~数千機のLED搭載ドローンを編隊飛行させ、夜空に光のアートを描き出す「ドローンショー」の企画・演出・オペレーションや、高速で飛行するドローンをFPV(一人称視点)で操縦するドローンレースの選手・運営なども、新たな仕事として確立しつつあります。
プログラミングスキルやイベント企画・運営能力、高い操縦技術などが求められます。
より高性能なドローン本体や搭載センサー、制御システム、ソフトウェアなどを開発する仕事です。
また、ドローンの性能を維持するための定期的なメンテナンスや修理を行う整備士も必要とされています。工学系の知識、プログラミングスキル、電子回路の知識、整備技術などが求められる専門職です。
「ドローンの仕事に興味が出てきたけど、自分にもできるかな?」そう思った方もいるかもしれません。ここでは、ドローン関連の仕事を目指す上で必要となるスキルや資格について解説します。
どんな分野のドローン業務においても、最も重要視されるのが安全運航に関する高い意識と、航空法をはじめとする関連法規の遵守です。ドローンは便利な反面、墜落や衝突などのリスクも伴います。常に安全を最優先し、ルールを守って飛行させる知識と責任感が不可欠です。
もちろん、ドローンを意のままに、安全に操縦できる基本的なスキルは必須です。特に、GPSが効かない環境や突風など、不測の事態にも対応できるマニュアル操縦の技術は重要視されます。
前述の職種紹介でも触れたように、目指す分野によって求められる専門スキルは異なります。
これらの専門スキルを身につけることで、より市場価値の高い人材になることができます。
2022年12月より、ドローンの国家資格制度がスタートしました。特定の飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行など、リスクの高い飛行)を行うためには、「一等無人航空機操縦士」または「二等無人航空機操縦士」の国家資格が必要となります。
現時点では、全てのドローン業務に国家資格が必須というわけではありませんが、今後、企業がパイロットを採用する際の基準になったり、特定の業務で必須となるケースが増えると考えられます。特にプロとしてドローン業務に携わるなら、取得を検討すべき資格と言えるでしょう。
資格取得のためには、登録講習機関(ドローンスクール)で講習を受けるか、直接国の指定試験機関で試験(学科・実地)に合格する必要があります。
これまで多くのドローンスクールが独自の民間資格を発行し、基本的な操縦技術や知識の証明として一定の評価がありました。しかし、2025年12月頃より制度が変更となり、これらの民間資格は飛行許可申請における技量証明としての効力を失います。 今後、ドローンの技能を公的に証明できる資格は、国家資格「無人航空機の操縦者技能証明」のみとなるため注意が必要です。
新しい分野だけに、「実際どのくらい稼げるの?」「将来性はあるの?」「未経験からでも本当に仕事にできる?」といった疑問は尽きませんよね。ここでは、気になる収入事情や業界の将来性、未経験からのキャリアパスについて見ていきましょう。
ドローン関連の仕事の収入は、働き方(正社員、フリーランスなど)、業務内容、経験、スキル、保有資格によって大きく異なります。
まだ新しい産業であるため、給与体系が確立されていない部分もありますが、スキルや実績に応じて収入アップが見込める分野と言えます。
ドローン市場は世界的に見ても急成長を続けており、今後もその拡大は続くと予測されています。技術の進歩により、より高性能なドローンが登場し、活用できる分野もさらに広がっていくでしょう。特に、人手不足の解消、危険作業の代替、効率化・コスト削減といった社会的な課題解決に貢献できるため、その需要はますます高まると考えられます。
法整備も進み、より安全な運用環境が整いつつあることも、業界の成長を後押しする要因です。
結論から言うと、未経験からでもドローン関連の仕事に就くことは十分可能です。ただし、やみくもに求人を探すのではなく、段階を踏んでスキルを身につけることが重要です。
特に「測量」「点検」「農業」などの分野では、ドローン操縦スキルに加えて、それぞれの分野の専門知識を持つ人材が求められています。もしあなたがこれらの分野での経験や知識をお持ちであれば、ドローンスキルを掛け合わせることで、非常に有利なキャリアを築ける可能性があります。
ドローンを使った仕事は、空撮から測量、点検、農業、物流、警備、エンターテイメント、教育、研究開発まで、非常に多岐にわたります。それぞれの分野で求められるスキルは異なりますが、共通して安全意識と法律知識が不可欠です。
国家資格制度も始まり、今後ますますドローン関連の仕事の需要は高まっていくと予想されます。収入は働き方やスキルによりますが、専門性を高めることで高収入も期待できる将来性のある分野です。
未経験からでも、ドローンスクールで基礎を学び、興味のある分野の専門知識を身につけ、実務経験を積んでいくことで、十分に活躍することが可能です。まずはドローンに触れることから始めて、新しいキャリアへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。